|
受賞者 |
受賞理由 |
作家賞 |
露口啓二
(つゆぐち けいじ)
|
長年、北海道で和人によるアイヌモシリの植民というテーマに向き合った作家は、写真集『移住』(2024)で、その撮影対象を「本土」にも広げた。アイヌを強制就学させた開拓使施設、鉱毒問題で移住を余儀なくされた足尾、原発事故の帰還困難区域などだ。過去の出来事に関する記憶や痕跡が消えた寒々しい風景を積み重ねる手つきは、淡々としているが故に作者の憤りを感じさせ、熱いものが伝わってくる。この労作に対して。 |
新人賞 |
青木 弘
(あおき ひろし) |
写真集『樹平線』(2020)は、中央アフリカ共和国で生きる子供たちの未来を変えたいという願いが詰まっている。戦場カメラマンとして戦争の愚かさと命の大切さを体験した青木氏の、写真に寄せる深い信頼と真摯な姿勢、被写体に寄せる愛情と共感は、写真を撮る理由や写真の見方にひとつの方向性を示す。日本人写真家の国際的な活動とそのありようを立証した『樹平線』を起点とする活動に対して。 |
功労賞 |
中谷吉隆
(なかたに よしたか)
|
1957年東京写真短期大学(現・東京工芸大学)卒業後、世相を鋭く捉えた作品を数多く発表した。その撮影テーマは広範多彩だが、中核はスポーツ写真である。1976年日本スポーツプレス協会設立に尽力、初代会長となり、日本のスポーツジャーナリズムの発展に大きく貢献した。また写真講師や写真俳句伝道者として、アマチュア写真の普及にも貢献している。この長年に亘る功績に対して。 |
文化振興賞 |
大西暢夫
(おおにし のぶお) |
『ひき石と24丁のとうふ』(2024)は、山深い村落で豆腐作り店を営む90歳の女性が逞しく生きる感動の写真絵本だ。『おばあちゃんは木になった』(2002)や『ぶた
にく』(2010)等どの作品も普通は目にしない世界を描き秀逸。特に岐阜県徳山村がダム建設によって水没するまでの長期取材『ホハレ峠』(2020)は、現代人のもつ価値観の善悪を問いかける。息も絶え絶えな人々との出会いを大切に、奥深い物語を私たちに伝えるドキュメンタリーというべき労作に対して。 |
学芸賞 |
|
該当なし |